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モノ売りのメソッド
~売るために知っておくべきこと〜

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最初に「システム1」へアプローチすることが大事

買い物行動は直感による判断の後、理性による判断がなされます。このことを脳科学で説明すると次のようになります。補足説明ですので、ご興味がない方は飛ばしてください。

脳は、「システム1」と「システム2」という二つのシステムからできています。

「システム1」は、簡単なことや早く決めなきゃいけないことを考えるシステムです。例えば、赤信号になったら止まるとか、笑顔になったら嬉しいとか。「システム1」は、0.2~0.4秒で「イエス」か「ノー」か決めます。ただし早く決めることができるけど、「システム1」は間違えやすい。ついつい必要でないものまで買ってしまう“間違った”判断をするのはこのためです。

一方「システム2」は、難しいことや時間がかかることを考えるシステムです。例えば、数学の問題を解いたり、文章を書いたり、そういうことです。「システム2」は、よく考えて正しい答えを出します。ただし、「システム2」が働く時は不安や恐怖の気持ちがあることが多いので、冷静な判断だとは言い難いところもあります。

日常生活のほとんどは無意識的な直感で判断されますが、それは「システム2」が働くには頭にエネルギーが多く必要であり、のうにとっては負担が大きいことになります。したがって、脳は多少間違うかもしれませんが、エネルギーの負担の少ない「システム1」にできるだけ任せようとします。多少間違うとは言っても90%は正しい判断をするので、普段の生活はシステム1で十分だということができます。

さて、バンジージャンプをする時、どっちが楽だと思いますか?
何も考えずに飛ぶこと。これは「システム1」で判断し行動している状態。でも一度でも下を見たら、不安や恐怖によって一瞬にして 「システム 2 」に変わり 、考え込んだり ・混乱したり・無視したりする 。頭は混乱したり・考え込んだり・無関心になったりすると決断をしなくなるのです 。

このことは買い物でも一緒 。「システム1」の状態ならお客さんは、サクサクと買う・買わないの判断をしていきますが、「システム 2 」になったら最後 、お客さんの疑問を解消するまで 、売り手はつき合わなければならなくなります 。

売れないお店や営業マンは 、お客さんの頭を 「システム 2 」にさせすぎていると言っても過言ではないでしょう 。

「システム1」に訴えるにはコツがあります。「システム1」は、簡単で面白くて気になるものに興味を持ちます。例えば、映画の予告編やドラマの次回予告や漫画の連載などです。「システム1」は、「どうなるの?」と気になって見たり読んだりします。

例えば、終わった連載のドラマ、小説、漫画などは誰かがすごくいいよ、と勧めてくれない限り見ようとはしないものです。実際連載中の本が本屋には並び、完了したモノは並ばなくなります。同様に映画の予告編も、予告編だけで何が起きるのか全部わかってしまったら映画を見に行く人がいなくなってしまう。

だから最近では「詳細はウェブで!」と誘導したり、「あなたが売り上げを上げるために必要な〇〇の法則」と言うふうに大事なところが伏せ字にしたりするのです。これは最後まで見せないクリフハンガー(崖っぷちにぶら下がるもの)とも呼ばれる手法です。

一方、家電や保険など高額な物の場合、理性=「システム2」が強く働いてしまいます。「システム2」は正しい判断をしようとするがあまり、時間をかけ過ぎたり、途中で疲れて買うのをやめたりしてしまいます。したがってできれば「システム2」はあまり働かないようにしなければなりません。そのためのキーワードは「なぜなら…」です。

例えば、パッケージに「全部簡単で何もしなくても良い」と書かれていたら、人は疑って、その商品を買わなくなります。逆に、この時にちょっと手間がかかるなど不便なことがあると、安心してお客さんは買ってしまうものです。 日本はおもてなしとサービスの国であり、相手に楽をさせてやるのが1番いいと言う考え方がありますが、それをお客さんが求めていない可能性も考えなければなりません。 例えばI KEAは、「自分で作る」を売りにしています。わざわざ自分でやることに価値を感じてもらって、そしてそのために、「だから安いんだ」と頭は納得する。 また、納得とは違いますが、「ちょっと手間がかかるけど、それが楽しい」と言われたら、「試してみたい」と思うかもしれません。

「システム2」は正しいかどうかは別にして、納得できる「理由」が提示されると活動が抑制されます。美味しそうなケーキを目の前にしたダイエット中の女性に対して例えば「今日は特別!」と言い訳=理由を与えてあげれば・・・・。

「全部簡単で何もしなくても良い。だから…」と説明文があれば、「納得」し安心してその商品を買うでしょう。

このようにして、「システム1」に訴えることで、お客さんに買ってもらうことができます。もちろん、「システム2」にも訴えることで不安や恐怖を取り除くことが必要です。でも、それは後回しにしましょう。まずは、「システム1」にアプローチをするこれが鉄則なのです。

  

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