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価値を付け加える:心理的価値

“付加価値”とは、「価値」を付け加えること。価値とは“どれだけ役に立つ・大切・特別・重要か”を表したもの。モノ消費からコト消費に変わった現在では、機能的(役に立つ)だけではなく、さらに“大切”・“特別”・“重要”といった心理的な価値も求められている。

「価値」とは、“その人にとってどれだけ役に立つ・大切・特別・重要なのか、その程度を表すこと”である。そして付加価値とはどう価値を付け加えていくかを考えることである。 前述した、労働価値も使用価値は客観的であれ主観的であれ、”役に立つ”かどうかという軸で評価されている「価値」であり機能的価値とも呼ばれている。

一方、価値があるかどうかは、“役に立つ”以外にも“大切さ”・“特別さ”・“重要さ”という別の軸でも評価されている。ただ、これらの軸は評価する人がそう思うかどうかによって決まるものなので、心理的価値と呼ばれている。

経済学では品質(労働価値)と利便性(使用価値)の2つが価値を付け加えることと説明されている。が、モノ消費からコト消費に変わった現在の経営では、その二つを踏まえた上でさらに心理的な満足が重要視され、情緒的価値(それに対して好意的な感情を持つこと)と意味的価値(それがその人にとって特別な意味があるものになること)の2つの価値を付け加えることが求められている。

例えばかつての商店街は良い品(品質)と利便性によって集客がなされていたが、人の流れが変わり利便性もスーパーなどに取られた現在、商店街の存在価値そのものが変わり、情緒的価値や意味的価値をどう付け加えていくかが求められている。また単に機能が優れただけでなく、デザインに好感度があることや、それを所有し使用することに特別な思いや意味が求められている。

情緒的価値

商品やサービスに対して理屈抜きに好きになる、憧れるといった感情を引き起こす価値のこと。情緒とは“対象に触れることで起こる特別な感情。またはその感情を起こさせる特殊な雰囲気。”のことであるので、対象にどう触れる、また雰囲気作りによってその価値は大きく変わることになる。

意味的価値

「顧客が商品やサービスに対して主観的に意味づけすることで生まれる価値」と定義されていることが多い。実は主観的な意味づけを私たちは日常的に行っている。例えば風呂上がりの一杯。ビールでもコーヒー牛乳でも構わないが、ほてった体に“クゥ〜!”と声を出しながら冷えた一杯を体に流し込むあのひと時は、普段飲む時とは違った味わいになる。また、限定販売でなかなか手に入らないグッズを運よく手に入れることができた時なども“特別な”主観的な意味づけを行うだろう。この“特別な”主観的な意味づけは企業側から誘導されていることも多い。例えば、“推し”が出演しているCM。競合と機能的に違いはなくても“推し”が宣伝しているというだけでファンの方には特別な意味がある。また先ほども出てきた限定販売(コラボ・期間限定など)は“特別感”を出すためによく使われる手法である。

     

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