モノ売りのメソッド(モノを売る技術について)

インデックスの背景イメージ

かつて私は売れない店長だった。

会社によっては本社による統制が厳しく、店長業務は本社の指示に従うだけというところもあるが、私がいた会社では、店長職はミニ経営者という位置付けであり、幅広い自由裁量が認められており、店舗レイアウトなども各店長が自分で考え作っていた。

私も店長として色々な施策を考え自分なりの工夫をしていたが、全くと言っていいほど効果はなかった。新店のオープンを任されてはいるので会社からは期待されていたのかもしれないが業績は悪く、いつも本社会議で吊し上げを喰らっていた。

結局は店長降格となる。ただ、必死に努力をしていたことだけは認めてくれていたようで、カリスマ店長の基でもう一度学び直せるように配慮をしていただけた。

降格して分かったことは、それまでの私は全くポイントを抑えていなかったということである。その後、再び店長に這い上がる過程や、独立後に国の販路開拓支援の中でマーケティング企画のブラッシュアップに関わる中で、多くのポイントに気づくことができたことが現在の評価につながっている。

心が歪むほど苦しかったけれど、比較的早い段階でポイントに気づくことができ、そこから人生が逆転したことを考えると、今思えば大きなチャンスだったのだろう。

「努力は裏切らない」という言葉は、半分嘘だと思う。ポイント抑えた努力は裏切らないが、ポイントが判らないまま続けた努力は徒労でしかない。

多くのポイントはご商売の家庭で育った人にとっては当たり前のことのようある。ただし、謎々の答えのように、わからない人はひたすらドツボにハマり、そこにポイントがあるということ自体に気づいていない。このことが売れないという悩みの原因である。

まだまだ勉強中の身ではあるが、ここに書いたことがあの徒労感や苦しみから少しでも早く脱出されるきっかけになれば幸いである。

目次

■ 基本的な考え方編

物を売るメソッド(技術体系・手法)の基本的な考え方について。これまでの気づきをまとめてみました。

お客は商品を見ていない
お客は商品を見ていない”、初めてそう言われたとき、何を言っているのか全然わからなかったが、お客の行動を観察しているとたしかにその通りだった。比較的早い時期に気づかせてもらえた私は幸運だ。なぜなら、売上に苦しむ相談者の多くはこのポイントを外しているからだ。

街の電気屋さんが潰れない理由
お店であれ商品であれ、お客様からすれば数多くある中の選択肢でしかない。売れなくなったのは選ばれなくなったから。どんな理由でもよいので生き残るためには選ばれなければならない。街の電気屋さんは商品力では敵わなくても、サービス力で選ばれる理由を作り出したことで生き残った。

選ばれる理由のつくりかた
直感・理性にかかわらず“お得”なものが選ばれる。価値と価格の差が競合よりも広いと私たちは“お得”だと感じる。この差は価格を下げる方法以外にも、機能であれ、新たな魅力であれ、心理的な特別感であれ価値を上げる方法がある。今多くの企業に求められているのはこれら価値を上げる方法である。

二つの価値
価値が高いという評価は、より品質が高いもの、よりメリット・ベネフィットが得られるものという2つの評価軸がある。どちらの評価軸で考えるかはお客がどちらを重視しているかによる。取引先に高い品質を求める大手企業もお客からはメリット・ベネフィットの高い製品が求められている。

強み・弱みという客観的事実はない
強み・弱みという客観的事実はない。強みとは、「ある環境かで、ある競合に対して有利に働く特徴」でしかない。したがって、強み・弱みは環境と相手次第で変わるものである。今までの強みが将来も強みとして働き、お客から選ばれているとしても、将来どうなるかはわからない。

機能→メリット変換リスト
相談に来られる人の多くは、自社の製品・商品がどんな機能をもっているかは饒舌に説明することはできても、得られるメリットやベネフィットについてはうまく説明できない。その場合には”機能→メリット変換リスト”というワークをしていただく。ワークの仕方の説明について。

ホイラーの法則
物を売るには、最初に品質の高さを実感させる、使用することで得られるメリット・ベネフィットをイメージさせることから話を始める必要がある。その方法として代表的なのがホイラーの法則。ただ、独特の用語で表現されており判りづらいところがある。ここでは私なりの解釈を述べている。