二つの価値判断

価値という言葉を辞書で調べると「その物事がどれくらい役にたつか、大切かという程度をあらわしたもの。」(ベネッセ表現読解国語辞典より)とある。

つまり、あるものが、その人にとって「役に立つ」・「大切である」ものであれば「価値がある」と判断される。

ただ、「役に立つ」・「大切である」の判断の仕方は2通りある。

一つは、品質が高いかどうか。素人がDIYで作った家具とベテランの職人が丹精を込めて作った家具とではその品質や使い心地が違っている。当然その価値(どれくらい役にたつか、大切かという程度)も違っているという考え方に立った判断である。

もう一つは、その商品を購入し使用することで得られるメリット・ベネフィットが高いかどうか。お客様が商品を買うのは、その商品から得られるメリット(その商品から得られる効果)が欲しいからである。したがって、得られるメリットが違っていれば価値(どれくらい役にたつか、大切かという程度)も違っているという考え方に立った判断である。

※メリット(直接得られる効果)とベネフィット(効果からもたらされる結果)の違いをダイエットに例えるなら、10kg痩せるというのがメリットで、その結果、今まで這入らなかったジーンズが這入るようになる、というのがベネフィットである。

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昔のモノが無かった時代には価値があるかどうかの判断は品質だけだったが、今のものが余った時代では、品質での判断よりもメリット・ベネフィットで判断されることが多い。

ト○タ自動車やパナ○ニックが、製品のために部品を購入する場合は、その部品の品質を重要視するが、ト○タ自動車やパナ○ニックの製品を買う一般顧客は、その自動車や冷蔵庫から得られるメリットやベネフィットを重要視する。

品質か、メリットベネフィットかどちらの価値で考えるかは、買い手であるお客がどちらを重要視しているかで変わる。機械金属部品を加工してきた企業が自社製品を開発する場合、価値の考え方を変える必要がある。

極端に言えば、品質が良いものを作ろうとするから、自社製品の開発は失敗するのである。

Con(共に)+Sult(座る)+Ant(者)・中小企業診断士・ビジネスコーチ

1968年生。同志社大学商学部卒。得意分野は売上向上策と人を育てる技術(相手を買う気・やる気にさせる仕掛けづくり)。 将来起業することを目指し大手流通業に就職。店長として店舗レイアウトや店内販促物の作成、コーチングを使ったスタッフ教育で評価を得ていた。 ビジネスコーチ・流通系コンサルタントとして独立。小売店や飲食店の売上向上策について支援を行う。一方公的支援機関にて販路開拓や創業・事業承継の支援に携わる。なお、コンテンツには個人的な見解や意見が入っています。あくまで参考としてお読みください。